The法円坂vol.66 ハラスメントイヤーを振り返る

「ハラスメントイヤーを振り返る」 山本美愛

 

  2018年は、ハラスメントイヤーといえる1年でした。

  4月には財務省事務次官によるセクハラ、5月には日大アメフト部員によるラフプレーがあり、監督らによるパワハラと報道されました(大学側の記者会見もお粗末なものでした)。7月には日本ボクシング連盟会長によるパワハラ、8月には体操協会幹部によるパワハラ、11月には、IT長者によるパワハラに関するニュースが動画付きで韓国から、グーグルでのセクハラ抗議ストのニュースが米国から飛び込んできました。

ハラスメントとは嫌がらせという意味です。よく何を言ったらパワハラorセクハラになりますか?と聞かれますが、何がそれに該当するかは、捉え方に個人差があり、また裁判での認定にもバラつきがあり一概に断定できません。

ただ、現場でこのようなハラスメント行為があった場合のリスクは、従業員の勤労意欲の低下や人材喪失、また裁判になった場合には賠償金の支払いなどの費用発生の問題も生じます。さらに、レピュテーションリスクは計り知れません。

被害者から被害申告を受けた場合、また第三者から告発があった場合、会社は迅速な事情聴取をしなければいけません。臭いものにフタをするのは最もリスキーです。

事情聴取は、聞き取りをする担当者を決め、中立的な立場で、被害者及び行為者双方、第三者(目撃者等)から客観的事実関係に絞って話を聞き取ります。その上で、申告を受けた事実関係があると認めた時は行為者に処分を、事実関係が認められない場合には、被害者に説明を行ったうえで、両者の関係改善に助力できればベストです。

  実際にハラスメントに関する法律相談は多く、常に起こりうる問題ですので、対応手順を決め、社内で共有されることをおすすめします。