The法円坂Vol.65 ヒバクシャ国際署名を

ヒバクシャ国際署名を

 平均年齢80歳を超える広島長崎の被爆者が、「後世の人々に生き地獄を体験しないように、生きている間に何としても核兵器のない世界を実現したい」と2016年4月から署名活動をしています。
2020年まで毎年国連総会に提出します。2017年度には515万4866筆の署名があつまり、10月の国連総会に提出されています。バチカンの司教らも署名しています。
 昨年7月7日、国連の交渉会議で122国と地域の賛成で核兵器禁止条約が採択されました。今年には核兵器禁止条約が発効されるでしょう。また、10月6日、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)がノーベル平和賞を受賞しました。
 核兵器禁止条約は、開発から使用に至るまで包括的に禁止しています。特に「ヒバクシャの受け入れがたい苦痛を心に留める」「条約を作り出した市民の力、ヒバクシャの力」が書き込まれて、被爆者の方々が核兵器にない世界を作るために活動してきたを評価しているのは、画期的なことです。
 核兵器は、人間を一瞬にて焼き尽くし、生存者には長期間にわたって放射能被害の苦しみを与える、非人道的な兵器です。核廃絶は人類の大きな目標です。
 日本政府は禁止条約に参加せず批准もしない態度ですが、被爆国としての世界の信頼を失うことを残念に思います。
 日本政府が核兵器国との橋渡し役になるというなら、禁止条約に参加し、事故や誤算による核兵器の使用がないように、核の抑止力に頼る政策をやめて、核保有国すべてに、核軍縮に向けた取り組みを提案する努力をすべきではないでしょうか。
 憲法をかえて戦争ができる国になるよりも、核兵器禁止条約に参加して核廃絶を訴えていくことが、核抑止力にのった軍拡競争を止めさせて、日本の国際的信頼を勝ち得ることだと思います。ヒバクシャ国際署名がその大きな力になるでしょう。

弁護士 乕田 喜代隆