ミャンマーに行ってきました
ミャンマーに行ってきました
「チャイナプラスワン」という言葉自体が一昔前の話に思えますが、一定期間中国に赴任していた者として、中国以外の東南アジアの国の状況はとても気になります。この間、ベトナム、タイは視察する機会がありましたが、それ以外の国はなかなか行けませんでした。
そんな中、昨年8月にミャンマーに行く機会ができましたので、少しばかりの感想を述べたいと思います。
ミャンマーは、2011年3月に長く続いた軍事政権から民政移管を遂げて新政府を樹立しました。民主化された近代国家を築くため、法の支配の徹底を課題として挙げており、着実に民主化の道を歩んでいます。日本政府も法律整備支援と共に、日本企業を含む外国投資の環境整備支援を行っています。
今回は、日本政府とは全く関係なく、国際NGOの一員として、2人の日本人弁護士により「法の支配」と「環境法」について、ミャンマーの民主化を進める団体や現地の弁護士会において講演する機会をいただきました。
僕は主として環境法の分野において、日本の環境訴訟の到達点と課題についてお話しました。特に、四大公害裁判において、困難な中、日本の弁護士が巨大企業を相手に裁判をたたかい、勝訴判決を得て立法化が進み、環境改善に貢献したというところを強調しました。ミャンマーはまだ法整備が追いついていないため、環境法の分野でもこれから立法化を図るべきところがたくさんあります。質疑では、いくら法律を作っても、権力を持つ者が守らなければ同じではないかとの意見も出されました。このような意見がミャンマーの状況を物語っていると思います。僕らは、法律は強い武器になりますよ、でも法律を作っても破られないような運動を常に続ける必要がありますよ、これが日本の経験です、ということを伝えました。
ミャンマーの方は穏やかで、少しシャイですが人なつっこく、とても好感が持てました。雨期のため、雨も多かったのですが、逆にそれによって気温が下がり、日本より過ごしやすいくらいでした。
講演の合間に、日系法律事務所の訪問も行いました。日系企業の投資案件が非常に増えていることを実感した次第です。今回、観光は少ししかできなかったので、また訪れてみたいと思います。皆さんも機会があればどうぞ。
弁護士 中島 宏治