アベノミクスは的外れ
アベノミクスは的外れ
安倍政権は昨年4月から消費税率を8%に引上げ、さらに本年10月からは10%に増税しようとしています。他方本年度から大企業を中心に法人税減税を経済財政運営の「骨太の方針」としてアベノミクスの「成長戦略」の目玉にしています。
昨年5月8日に2014年3月期の決算を発表したトヨタ自動車は営業利益が前期の73.5%増の2兆2921億円、純利益も89%増の1兆8231億円となってリーマンショック後の落ち込みを回復したといわれています。豊田章男社長は同日の決算会見において「09年6月に社長となってから国内で一度も税金を払っていない。やはり企業というものは税金を払うことで社会貢献をやっていくというのが企業存続の一番の使命だと思っている。そういう意味で納税ができる会社としてスタートラインに立ったことが素直にうれしく思っている」と述べた(法と民主主義№492「アベノミクスと法人税減税」菅隆徳)。トヨタ自動車は08年度から12年度までの5年間、法人税を一円も払っていなかったことを明らかにしたものです。大企業優遇の租税特別措置による減税の恩典を受けていたことが明白です。
この様な大企業向けに更に法人税減税を骨太の方針とし庶民負担の消費税を更に上げようなどとするアベノミクスは的外れという他ありません。
東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授は「安倍総理は日本経済に対する診断を間違え、必然的に処方箋を間違えているということです。現在やっていることは、生活習慣病(高齢化)の老人に対して異次元のモルヒネ(金融緩和)と栄養剤(財政出動)をぶち込んで、気休め程度の筋トレ(成長戦略)をさせ『体温(株価)が上がったから順調に回復している。もう大丈夫だ』と言って、老人を生存環境の厳しい北極に放り出した(消費増税)ようなものですよ。異次元の副作用と過酷な環境のせいで老人の状態が悪化するのは目に見えているではありませんか。下手をすれば頓死です」(月刊日本10月号、「安倍総理は『過ち』を認めよ」安冨歩)と適格に指摘されています。
全く同感であり、我が国の経済や地域社会を支える中小企業や庶民の生活を遵るためにも安倍総理の方針を放置する訳にはいきません。
弁護士 稲田 堅太郎